パソコンで使われているフォントの形式は何種類かありますが、大きく分けるとTrueTypeフォント形式とOpenTypeフォント形式に分類されます。
今回は、いざ、新しいフォントを購入する際などに、知っておくと便利かもしれない。日本語環境でのTrueTypeフォントとOpenTypeフォントの違いを簡単にご説明してみます。
TrueTypeフォント
TrueTypeフォントはApple社とMicrosoft社が共同で開発したフォントです。WindowsとMacのパソコンには標準的にインストールされています。
昔のパソコンでは、ドット形式で表示されるビットマップフォントが使用されていました。現在のパソコンで一般的に使われているフォントは、サイズを拡大しても、なめらかな画面表示と印刷が可能なので、アウトラインフォントと呼ばれています。フォント形式によって曲線の描画方法に違いがあり、TrueTypeフォントは二次Bスプライン曲線で表現されています。
二次Bスプライン曲線
TrueTypeフォントはMac環境では600dpi以上の高解像度出力に制限がかかっているため、DTPには使用出来ないと言われていますが、名刺用途位であれば大丈夫です。フォントにアウトラインをかけてから印刷すれば、何の問題もなく出力する事が出来ます。(Windowsでは制限がありません)
メリットはなんといっても、フォントの価格が安い事です。
TrueTypeフォント形式を中心としたフォント集ソフトの中には、日本語書体が200書体以上セットも含まれていて、1万円以下で購入できるソフトもあります。
例えば、FONTxFAN HYBRIDには日本語書体がWin版255書体、Mac版235書体入ってます。欧文や数字、クリエイターズフォントなど、全部で合計10,308書体も含まれています。なおかつハイブリッド版としてWindowとMacのそれぞれにインストール出来るライセンスになっています。
又、多くのフリーフォントは、TrueType形式で作られています。商用可能なフリーフォントのまとめサイト【フォントAC】
TrueTypeフォントのデメリットは、含まれている文字セット数がOpenTypeフォントに比べて少ない事でしょう。字形が旧コードに依存しているため、最大でも約8,000文字ほどに制限されます。
販売されているフォントでよく見かける文字セット数は、漢字Talk7に準拠するタイプや、JIS第一水準+第二水準などに対応しているタイプが多いようです。
TrueTypeフォントの文字セット数
漢字Talk7に準拠とは分かりにくいですね。昔のMac os9で使われていた日本語システムの事で、文字コードはMacJapanese。Shift-jisにapple社が独自に拡張した外字を含んでいます。参考・ウィキペディア・MacJapanese ウィキペディア・JIS漢字コード
OpenTypeフォント
実は、フォントの種類をさらに分類すると、PostScript(type1)フォントという形式があります。これはAdobe社が開発したフォント形式で、DTP業界では標準的に使用されていたフォントです。
PostScriptフォントは3次ベジェ曲線で描画されています。Illustratorで出来る曲線と同じですね。
OpenTypeフォントは従来のTrueTypeフォント形式を拡張して、PostScript(Type1)フォント形式もサポートした新しい形式です。Adobe社とMicrosoft社が共同開発しました。WindowsとMacでフォントデータの互換性があります。
ここからややこしいのですが、OpenTypeフォントは拡張子名だけではフォントの形式の判断は出来ません。一般的には.ttfや.ttcの拡張子はTrueTypeFont、.otfはOpenTypeFontの略だと思うのが普通でしょう。
ところがOpenTypeフォントを制作する際には、どちらの形式をベースにしても開発出来る為、TrueTypeをベースにした場合のOpenTypeフォントの拡張子は、.ttfや.ttcになります。そしてPostScript(Type1)をベースに開発したフォントの拡張子は、.otfになります。
その為、一般的にはPostScript(Type1)をベースにした.otfの拡張子タイプのみをOpenTypeフォントと表現している場合も多いです。
OpenTypeフォントのメリットは文字セット数の多さです。
DTP用として開発されているOpneTypeフォントの場合は、最大文字セット数が23,058文字です。収録文字数の違いは、Adobe-Japan文字コレクションで分類されています。
Adobe-Japan文字コレクション(JIS90基準)
Mac os-xに標準でインストールされている、ヒラギノの場合。ヒラギノ Stdは、Adobe-Japan 1-3準拠で、9,354文字です。ヒラギノ ProNだと、Adobe-Japan 1-5 (JIS2004基準)準拠と、20,317+8=20,325文字になります。
デメリットはフォントの価格が高い事です。
5〜7書体程で、2万円〜4万円位したりします。DTPで多くの書体を揃えるとなると、パソコン一台につき何十万円も費用がかかってしまいます。印刷業界も頭が痛いですね〜。
その為、現在ではOpenTypeフォントを発売しているフォントメーカーは、年間ライセンス契約方式の販売形式が主流となりました。ライセンスを結べば用意されているフォントが使い放題です。
モリサワパスポートONEは、全てのモリサワフォントが一年間使用出来るライセンス契約です。2013年2月現在のフォント数はモリサワフォントが559書体、総計では860書体用意されています。又、新しいフォントが発売された場合は追加料金なしで利用する事が出来る契約になっています。
他のフォントメーカーもライセンス契約出来るところが増えましたが、やはり業界ではモリサワが標準なようですね。1年契約で5万円前後しますが、PCの台数や契約年数によって値引きもあります。
モリサワパスポートは、写真素材を販売している、アマナイメージズでも購入出来ます。単体でもお得な金額ですが、複数契約すると更に安くなります。 → モリサワパスポートを安く購入する方法|名刺の作り方ガイド
よく売れているのはどちら?
TrueTypeフォントとOpenTypeフォントを比べてみました。フォントの金額から考えてもOpneTypeフォントは、やはりプロ向けの用途が多いような気がしてましたが、amazonでフォント集ソフトのランキングを見たら、モリサワパスポートONEは結構上位にランキングされていました。TrueTypeフォントでは、FONT x FAN HYBRIDやDynaFontも人気な模様です。
スポンサーリンク
[ad#ad-ms]